2006年4月17日

復活祭の月曜日、ドイツでは恒例の復活祭反戦デモが行われました。その中で焦点になっているのがイランに対するアメリカの軍事攻撃の可能性です。アメリカがあらゆる事態に対処できるように、各施設に対する攻撃計画を練っていることは、当然のことでしょう。SOF(特殊作戦部隊)や、CIAの準軍事部門はすでにイランに侵入して、爆撃目標に対する地上からの偵察を行っていることは、イラクの例から十分考えられます。

しかし、実際に攻撃できるかというと別問題です。アメリカ軍はすでにイラクとアフガニスタンで戦闘を続けており、さらにイランで戦端を開くとなると、負担が大きくなりすぎるからです。特に、イランがイスラエルに対するミサイル攻撃を行ったり、イラクのシーア派への軍事支援を強めてイラクの内戦を激化させたりする恐れがあります。

それにしてもアメリカは、大量破壊兵器を持っていなかったイラクを攻撃したのに、核兵器を開発しようとしていることがほぼ確実のイランに対して、戦争を始められないというのは、はなはだしい矛盾であり、対テロ戦争は混乱の度合いを深める一方です。

アメリカが手一杯であるために、イスラエルが、かつてイラクの原子炉を空爆したように、イランに対する爆撃を行う可能性もあります。しかしイランが核武装を意図しているとすれば、その理由の一つは、イスラエルがすでに核兵器を持っていることです。このため、イランに核開発を止めるように求めるには、本来はイスラエルに対しても核兵器の廃棄を求めるのが筋ですが、そうならないのが、国際政治の非情な所です。

イスラエルといえば、テルアビブの中央バス停車場の近くの食堂前で自爆テロが起き、8人が死亡しました。イスラム聖戦機構が、今年3月末に一方的停戦を打ち切ると宣言していたため、自爆テロの再開は時間の問題と思われていました。イスラエルの新政権は、シャロンが昏睡状態になって弱腰になったと思われることを防ぐために、今週ガザやヨルダン川西岸地区で、再び激しい攻勢に出ることでしょう。イスラエル対パレスチナの流血の連鎖が、再び始まるのでしょうか。